やり場のない怒りを表わす場合などに、つい使用してしまう言葉であるが、この言葉には次のような悲しい歴史があることを理解しよう。
「かってぼ」については富浦町深名出身の彦兵ヱ氏より、ハンセン病患者に対する差別用語ではないかとの提言があり、当方で調査した結果、房日新聞社・忍足記者よ り次のような解説をいただきましたのでその全文をご紹介します。
※One Point
「かってぼ」
カッタイボウの変形です。
カッテは「欠体」つまり、ハンセン病の罹患を指しています。 ボは棒or坊。泥棒や食いしん坊のボウです。
ハンセン病患者は古くから差別の対象で、かつて特別な扱いを受けているケースがあったことは、一連の裁判の報道でご存知でしょう。
現代医療では、接触感染及び遺伝による感染はなく、関連法もすでに廃止されました。
相手をののしって「かっ、カッテボさ」というのは、とんでもな差別発言をしているのです。
房州弁に限らず、差別的用語は数多あります。HPには表現できませんが、五体が満足に機能しなければ、かつては容赦なく差別表現しました。一番恐い のは、カッテボの意味を知らずに、「チクショウ」という意味で、用いることです。人を指して畜生というのも差別ですね。
さまざまな差別用語がマスコミから姿を消し、当然われわれも細心の注意をはらうべきです。
ですが、言葉を消し去れば差別は消えるのかといえば、そうではありません。われわれは正確な言葉と意味を知ったうえで、それを使い分けなければなり ません。
方言においては特に、こういう部分が置き去りにされがちです。せっかくの房和辞典ですから、この用語を避けることなく、掲載してほしいものです。後世に 正しく伝え、不用意な用法をしないよう、若い房州人にお願いしたいのです。