《動詞》
国立民族博物館助手 加藤昌彦氏 提供
漆などの成分で皮膚がただれたりかゆくなること。かぶれる。
(英)be poisoned
(例)かせきでかせた(ハゼノキでかぶれた)
※One Point
「かせる」については、つい最近まで標準語と認識していましたが、国立民族博物館 民族学研究部助手 加藤昌彦氏 からのメールで、どうも方言であるらしいことが判明しました。
参考までに加藤氏からのメールを抜粋し、以下に掲載しました。方言学における房州弁についての解説もいただいておりますのでご参照下さい。
「房和辞典の共通語訳のところに、方言を発見したのでメールをお出しする次第です。
[カ行]のところを見ていましたら、「かせき」というのがあって、そこの説明に「かせる」という動詞が出てきていますよね?ひょっとして、これは方言ではないですか?
実は、私は栃木県の出身で(「栃木のことば」というHPも開いています)、栃木でも「かせる」と言います。ちなみに、他地方の人には通じませんでした。共通語では「かぶれる」です。
今、手元の辞書で調べたところ、三省堂の新明解国語辞典には載っていませんでした。小学館の言泉には載っていましたが、おそらく、関東の方言語彙を何かの拍子に拾い上げたということではないかと思います。(中略)
ところで、全国的には千葉県は「標準語地域」と見なされているようですが、実際のところは、方言色がたいへん豊かな土地なんですよね。現在小生は、大阪に住んでいるのですが、東京に出張するたびに、周辺の田舎(?)を歩くようにしています。注意して聞いてみると、埼玉県の大宮や千葉県の柏など、けっこう方言が残っています。そもそも、東京弁というのが関東方言の中で極めて特殊であって、それが元になって出来た共通語というのも、元来の関東弁とはまったく異なるんですよね(関西の人などはよく共通語のことを「関東弁」などと言いますが、これは誤った認識です)。
房和辞典を見ていて、ますますそういう感想を強くしました。ついでに、方言学の世界では、千葉の方言は茨城・栃木方言との共通点が多い(つまり東北方言的要素がけっこう強い)と言われますが、拝見していてまさしくそうだと思いました。」